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「やばい」と打ち込んだ瞬間、私はノートPCから一歩引いた
「テラセル電気 やばい」
そう打ち込んで検索ボタンを押した瞬間、私はノートPCから少し体を引いた。検索結果に並ぶ「高くなった」「もう戻れない」「乗り換えて後悔」の文字。
──やっぱり、か。
心のどこかで、その四文字を予感していた自分がいる。
私は2022年の燃料費高騰のとき、当時契約していた新電力で痛い目を見ている。10月の請求書を開いた瞬間、目を疑った。先月より1万円以上高い。家計簿アプリを更新する手が止まった。隣の部屋にいた妻に金額を伝えたとき、彼女は何も言わずにスマホを置いた。あの沈黙の気まずさは、今でも体に残っている。
翌週、私は東京電力に戻した。「新電力にはもう二度と手を出さない」──そう決めたはずだった。
なのに今、こうしてまた検索バーに「新電力」と打ち込んでいる。子どもが大きくなって家にいる時間が増えた。エアコンの稼働時間も伸びた。先月の検針票は23,000円を超えていた。何かを変えなければ、この夏は乗り切れない。
──TERASELでんきは、結局やばいのか。
同じ過ちを繰り返すのは怖い。でも、何もしないまま家計が削られていくのも、もう限界だ。
だからこの記事は、「やばいか・やばくないか」を雰囲気で答える記事ではない。条件と構造で、自分にとっての答えを出すための記事だ。
「やばい」と言われる3つの構造的理由

検索結果を眺めていて、ひとつ気になった。
「やばい」「高くなった」と書いている人と、「半額になった」「もっと早く乗り換えればよかった」と書いている人が、同じサービスを評価していることだ。
正反対の評価が並ぶときは、サービスの良し悪しよりも先に「構造」を見たほうがいい。なぜそんなにズレが出るのか。調べていくと、3つの理由に行き当たった。
理由①:燃料費調整額に上限がない
結論から言う。これが「高くなった」声の最大の正体だ。
そして──2022年に私を打ちのめした正体でもある。
電気料金には「燃料費調整額」という変動費がついている。原油・天然ガス・石炭の価格に応じて毎月変わる仕組みで、燃料が高い月は電気代が上がり、安い月は下がる。
問題は、この上限の有無だ。
旧一般電気事業者の規制料金プラン(従量電灯Bなど)には燃料費調整額の上限がある。一方、TERASELでんきには上限が設定されていない(公式の電気料金メニュー約款で明記)。
つまり燃料費が大きく高騰した局面では、規制料金プランより電気代が高くなる可能性がある。
2022〜2023年に「新電力やばい」と言われた現象の正体の多くは、これだ。
当時の私は、この一行を知らないまま契約していた。約款を読まなかった私の落ち度だが、同時に「上限なし」の一文がもう少し目に入る場所に書かれていれば、と今でも思う。
理由②:市場連動型プランとの混同
TERASELでんきには4つのプランがある。そのうち「TERASELマーケットプラン」は、30分ごとの市場価格(JEPX)に連動して単価が動く仕組みだ。
これは電気の使い方を工夫できる人向けの上級プランで、市場が高騰した時間帯に電気を使うと跳ね上がる。完全に上級者向けだ。
「やばい」「高くなった」の口コミの一部は、このプランを通常のTERASELプランと混同しているケースが見られる。
ファミリー世帯がよく選ぶ「超TERASELプラン」「TERASELプラン」は段階制の従量料金で、市場連動ではない。ここを区別しないまま「TERASELでんき=市場連動でやばい」と語っている口コミは、構造的に正確とは言えない。
正直に言うと、私もはじめは混同していた。プラン名の似た複数構造を、検索結果のスナップショットだけで理解するのは難しい。
理由③:激変緩和措置の終了・再開の影響
2023年以降、政府による電気料金の激変緩和措置(補助金)が断続的に実施されている。措置がある月は電気代が下がり、終了した月は元の水準に戻る。
この国の制度変更による上下を、「TERASELでんきが値上げした」と受け取っている口コミも少なくない。
これも構造的なズレで、TERASELでんき自体の単価が変わったわけではない。だが、毎月の請求書を見ている側からすれば、「先月より高い=この電力会社が値上げした」と感じるのも無理はない。私も同じ立場ならそう書く。
3つの構造を踏まえると、口コミを「やばい」「お得」の二択で読むのは、たぶん早すぎる。
次は、実際の「高くなった」口コミを条件別に分解してみる。
「高くなった」口コミに共通する4つの条件
3つの構造を踏まえた上で、「高くなった」「やばい」と書いている人たちには、いくつか共通する条件があることに気づいた。
私はSNSの投稿、レビューサイトの読者投稿欄、新電力比較メディアのコメント欄を順に追いかけてみた。ネガティブな声には、ほぼ例外なく4つのうちどれかが当てはまる。
そして──正直に言えば、私は彼らの投稿のいくつかに、自分の2年前を見た。
条件A:投稿時期が2022〜2023年に集中している
「使用量450kWhで月17,000円台、これは高すぎる」「乗り換えて後悔」──こうした趣旨の投稿を日付順に並べてみると、2022年後半から2023年前半に強く集中している。
この時期はロシアのウクライナ侵攻後の燃料価格高騰で、新電力業界全体が値上がりした局面だ。先述したとおり、燃料費調整額の上限がないプランは、この時期に規制料金より高くなった。
つまり「TERASELでんきが悪い」というより、燃料費調整額の上限有無で全社が分かれた局面の話である可能性が高い。
ただ、それを「業界の構造的問題でしたね」で済ませてしまうのは、当時請求書を見て青ざめた人間としては気が引ける。あの局面で受けたダメージは、誰にとっても本当のダメージだった。
2024年以降の投稿で同じ規模の不満は、ぐっと減っている。これは事実だ。
条件B:乗り換え前のプランが「上限あり規制料金」だった
「東京電力の従量電灯Bから乗り換えたら高くなった」というパターンも目につく。これは構造的に説明がつく。
従量電灯B(規制料金)には燃料費調整額の上限がある。これに対してTERASELでんきには上限がない。燃料費が高騰した月だけを切り取ると、確かに規制料金より高くなる月が出る。
ただし通年で見ると、基本料金や電力量料金の単価そのものはTERASELでんきのほうが安く設定されている(各エリアの料金表で確認可)。
「高い月だけを見て判断した」口コミと「12ヶ月通算で判断した」口コミでは、結論が分かれて当然だろう。
私が2022年に痛い目を見たとき、私は前者だった。月の請求書を見て即座に解約した。今思えば、3〜4ヶ月通算で判断していれば、別の結論になっていたかもしれない。──いや、あの心理状態でそれを冷静に判断するのは無理だ。家計の不安は、合理性を簡単に超えてくる。
条件C:月の電気使用量が120kWh未満(少使用量世帯)
これも構造で説明できる。
超TERASELプランやTERASELプランは「電気を多く使う世帯ほど割安になる段階料金」だ。
月120kWh未満(単身・日中ほぼ不在)の使用量だと、割引額は年間で見ても少額にとどまる傾向がある。「乗り換えたのにほとんど変わらない」「思ったほど安くならない」という口コミの多くは、この使用量帯の人と推測される。
「安くならなかった=やばい」ではなく、「単身少使用量にはそもそも向かないプラン」。これは仕組み上の話で、TERASELでんき側の問題ではない。
ただ、申込み時点で「あなたの使用量だとこのプランは向きません」と止めてくれる仕組みがあれば、こうした口コミは半分以下になるはずだ。これはサービス側の課題として残る。
条件D:楽天経済圏を使っていない層
TERASELでんきの大きな付加価値のひとつは、電気代200円(税込)ごとに楽天ポイント1ptが貯まる仕組みだ(公式記載)。
ただし楽天市場・楽天カード・楽天モバイルなどを普段使っていない人にとって、このポイントは「使い道のない数字」になりがちだ。
「ポイント還元って言うけど、結局使わない」という口コミは、ここから来ている。
正直なところ、楽天経済圏に居ない人にとっては、TERASELでんきを選ぶ理由が一つ減る。これは認めるべき事実だ。
4つの条件で「高くなった」口コミの大半は説明がつく。
次は逆に、「安くなった」「半額になった」という口コミに共通する条件を、同じ枠組みで分解してみる。私がもう一度新電力を検討してもいいかもしれないと思った理由は、そこにあった。
「安くなった」口コミに共通する4つの条件
もう少し正確に書く。
W03の最後で「もう一度新電力を検討してもいいかもしれないと思った」と書いたが、その時点ではまだ「もしかしたら」程度の感触に過ぎなかった。本当に検討に値するかどうかを判断するには、反対側の声──「TERASELでんきにして電気代が下がった」「もっと早く乗り換えればよかった」と書いている人たちの投稿も、同じ手順で読み込む必要があった。
私は再びSNSと比較サイトの読者レビューを開いた。同じ手順で読み込んでいくと、こちら側にも条件があった。4つだ。
条件①:月の電気使用量が300kWh以上の世帯
これがいちばん大きい。
「家族4人、毎月の電気代が3,000円近く下がった」「夏場の請求書が1万円超下がった」──こうした投稿はほぼ例外なく、月の使用量が300kWhを超える世帯から出ている。
理由は単純で、超TERASELプランは電気を多く使う世帯ほど単価が下がる段階料金だからだ。300kWhを超えるあたりから、規制料金との単価差がはっきり開いていく。
エアコンを使う夏冬、子どもがいる家庭、在宅勤務者がいる家庭、ペットがいる家庭──このあたりは300kWhの壁を超えやすい。
私はここで一度手を止めて、検針票を引っ張り出した。直近1年の平均が月380kWh。──該当している。当時痛い目を見たとき、私は400kWh前後で乗り換えていた。仮にあの時のサービスが燃料費調整額の上限ありのプランだったら、結果は逆だったかもしれない、と読みながら考えていた。
条件②:燃料費の落ち着いた時期に契約している
2024年以降の投稿に「安くなった」声が集中している。これは構造的な裏付けがある。
燃料価格そのものが2022年のピークから落ち着いてきた。激変緩和措置も入り、月々の請求書から「異常値」が消えた。この局面では、単価そのものが安いTERASELでんきの本来の競争力が、ちゃんと見える形になる。
私が痛い目を見た2022年は、構造上の最悪のタイミングだった。逆に言うと、今は2026年。あの時の最悪のタイミングからは、明らかに離れた局面だ。これは認めていい事実だと思う。
条件③:楽天経済圏のユーザー
「電気代の楽天ポイントだけで月数百ポイント貯まる」「年間で6,000ポイント超えた」という投稿が一定数ある。
電気代200円(税込)につき1ポイント。月の電気代が15,000円なら75ポイント、年間で900ポイント。さらに新規契約時の「選べる特典」で2,000円相当(楽天ポイント・PayPayポイント・Amazonギフトカード等から1つ)が初月に上乗せされる(金額・種類は時期によって変動)。
楽天市場で月数回買い物をする人、楽天カード保有者、楽天モバイルユーザー──このあたりに当てはまる人にとっては、ポイントは「現金と同等」だ。
私の場合は楽天カードを持っているが、楽天市場の利用は月1〜2回程度。フル活用層ではないが、ゼロでもない。──半分該当、という感触だった。フル活用層から見た「現金同等」とまではいかないが、年間1,000ポイント前後なら、無視するには惜しい数字だ。
条件④:「縛りなし」で気軽に試した層
TERASELでんきには解約金・違約金がない(公式約款で明記)。契約期間は1年ごとの自動更新だが、途中解約しても費用は発生しない。
「合わなかったら戻せばいい、という気持ちで試したら、結局2年続いている」──こういう趣旨の投稿が目につく。
ここは、私には大きい。
あのとき東京電力に即座に戻せたから、傷は1ヶ月で済んだ。「戻れる」前提があるだけで、判断のハードルは劇的に下がる。地雷を踏むリスクを「最大1〜2ヶ月分の振れ幅」に限定できるなら、もう一度動く理由になる。
4条件を確認した時点で、私の家は2〜3条件に該当していた。決定的ではないが、無視できる数でもなかった。
次は、規制料金との損益分岐点を、具体的な数字で確認する。
規制料金との損益分岐点はどこか
「結局、自分の家だと安くなるのか、高くなるのか」──いちばん知りたいのはここだろう。
私もこの段階で、検針票と電卓を並べた。結論を先に言うと、月の電気使用量が損益分岐の最大のカギになる。
単価の構造を並べる
ここでは東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B」(規制料金・40A)と、TERASELでんきの「超TERASEL東京B」(40A)を比較する(2026年6月時点の公式料金表より/★公開前に最新単価で再確認)。
| 使用量帯 | 従量電灯B | 超TERASEL東京B |
|---|---|---|
| 基本料金(40A) | 1,247.60円 | 1,247.60円 |
| 〜120kWh | 29.80円/kWh | 29.80円/kWh |
| 121〜300kWh | 36.40円/kWh | 34.26円/kWh |
| 301kWh〜 | 40.49円/kWh | 35.64円/kWh |
表を眺めながら、私は思わず声に出した。
「ほぼ5円」
301kWh以上の単価差。月380kWhを使う我が家なら、超過した80kWh分だけで月388円、年間4,660円。さらに121〜300kWhのゾーンでも単価差があり、ここでも年間4,620円ほど。基本料金は同額なので、ここの単価差がほぼそのまま節約額になる。
電卓を叩き終わって、私はもう一度数字を見た。年間9,000円台──これに楽天ポイント(年間900〜2,000ポイント)が乗ってくる。
派手な金額ではない。でも、無視できる金額でもない。
損益分岐の試算(目安レンジ)

通年で見た場合、概ね以下のラインが目安になる(燃料費調整額が落ち着いている前提):
- 月200kWh前後の世帯:年間で2,500〜3,500円ほど安くなる傾向
- 月300kWh前後の世帯:年間で4,600〜6,000円ほど安くなる傾向
- 月450kWh以上の世帯:年間で13,000〜16,500円ほど安くなる傾向(公式シミュレーションでも近い数値が示されている)
一方で、燃料費高騰局面ではどうか
ここを隠したくない。
燃料費調整額に上限がない以上、燃料が高騰した月だけを切り取れば、規制料金の上限に守られたほうが安くなることがある。
2022年の高騰期では、新電力全般が規制料金より月1,000〜3,000円ほど高くなった月がある(各種比較メディアの集計)。
──いや、これは他人事のように書いている場合ではない。私自身があの時、その月単位の請求書を見て即座に解約に走った人間だ。
通年で見れば下回るケースが多かった、というのが事後集計だ。だがあのとき、月の請求書を青ざめた顔で見つめていた私に、「12ヶ月通算で判断してください」と誰かが言ったとして、それが届いたかと聞かれれば──たぶん届かなかった。家計の不安は、合理性を簡単に超えてくる。
だから今回、私の中で決定的だったのは、4つ目の条件──「縛りなしで戻せる」──だった。試して、合わなければ戻せる。この前提があるだけで、損益分岐の議論は少し優しくなる。
TERASELでんきが”やばい”可能性が高い人の条件
数字で「悪くないかもしれない」と思った後、私は逆を確認した。
「乗り換えるとやばい結果になる可能性が高い」条件を、自分が踏んでいないか。該当する項目が複数あるなら、たぶん乗り換えるべきではない。私は一つずつ、自分の家と照らし合わせていった。
条件①:オール電化住宅に住んでいる
TERASELでんきにはオール電化向けプランがない。
オール電化住宅は深夜の安い時間帯に多くの電気を使う設計になっており、それに合わせた専用プラン(夜間料金が極端に安い時間帯別プラン)を契約しているケースがほとんどだ。
このタイプのプランから一般プランに乗り換えると、ほぼ確実に電気代が上がる。ここは「やばい」が出る最も典型的なケースで、口コミでも繰り返し報告されている。
──我が家はガス併用。該当せず。
条件②:月の電気使用量が120kWh未満
単身者、日中はほぼ家にいない、家電もミニマム──こういう生活なら、月120kWhを切ることはある。
このゾーンだと段階料金の安さが効くゾーンに届かないため、乗り換えても年間の節約額は1,000円台に留まることが多い。手間の割に合わない、という感覚に近い。
該当する場合は、TERASELではなく基本料金がゼロの単身向け新電力(別記事で扱う)のほうが筋がいい。
──我が家は月平均380kWh。余裕で超えている。該当せず。
条件③:燃料費調整額に上限のある規制料金プランから乗り換える
すでに東京電力の従量電灯Bなど、燃料費調整額に上限のある規制料金で契約している人は、慎重になる理由がある。
平時は規制料金の単価のほうが高いので、TERASELに乗り換えれば下がる。だが燃料が高騰した局面では、上限のないTERASEL側が一時的に高くなる。
ここで「月単位の請求書だけを見て、即座に判断する」タイプの人は、過去の私と同じく解約に走る可能性が高い。「12ヶ月通算で判断できる胆力」がない自覚があるなら、見送るのが現実的だ。
──私はここに該当する。正直に書くと、たぶん私は今でも「12ヶ月通算で待てる胆力」を完全には持っていない。ただし「縛りなしで戻せる」という条件が、その不足を埋めてくれる。子どもが大きくなって家計の方が先に持たない状況になった今、もう動かない選択肢のほうがリスクが大きい、と判断した。
条件④:市場連動型プランを選ぼうとしている
TERASELマーケットプランは、30分ごとに単価が動く市場連動型だ。「上級者向け」と書いたが、もう少し率直に書く。
電気の使い方を時間帯で能動的にコントロールできる人以外は、選ぶべきではない。
電力市場が高騰した時間帯(夏の夕方、冬の朝晩等)に普段通り電気を使えば、平気で単価が3倍4倍になる。「やばい」と言われる事例の一部は、このプランを通常プランと混同して契約した人たちだ。
──私が検討しているのは超TERASEL東京B(段階料金)。該当せず。
条件⑤:楽天経済圏を一切使わない
楽天ポイント還元はTERASELの大きな付加価値の一つだが、これを使わない人にとっては「使い道のない数字」だ。
新規契約時の「選べる特典」では楽天以外(PayPay・Amazon・Apple Gift Card)も選べるが、毎月積み上がるポイントは楽天固定。楽天経済圏外の人にとっては、TERASELの相対的な魅力は1段下がる、ということは認めるべきだ。
──私は半分該当の半分非該当。フル恩恵層ではないが、ゼロでもない。
5条件を順に照らし合わせて、該当したのは条件③(胆力問題)だけだった。それも「縛りなしで戻せる」という条件で相当緩和される。
私は次に、裏返しを確認した。
逆に、TERASELでんきが”やばくない”人の条件

以下に該当する人は、過去の私が背負った地雷をほとんど踏まずに済む可能性が高い。私自身の照合も続ける。
条件①:月の電気使用量が300kWh以上のファミリー世帯
ここが本命層だ。3〜4人家族、子どもがいる、ペットがいる、在宅勤務者がいる──このいずれかに該当する世帯は、超TERASELプランの単価メリットがフルに効く。
年間で1万円台の節約が現実的に見えてくる。
──我が家、平均380kWh。該当。
条件②:すでに新電力(自由料金プラン)を契約している
規制料金ではなく、すでに何らかの新電力(楽天でんき、ENEOSでんき、Looopでんき、その他自由料金プラン)を契約している人は、燃料費調整額の上限なしという条件にすでに置かれている。
つまり、TERASELに移っても「上限なしのリスク」は新規追加されない。この場合、ほぼ純粋に単価差・ポイント還元・特典で比較できるため、判断がぐっと楽になる。
──私は規制料金(東京電力従量電灯B)に戻している側なので、ここは該当せず。ここが私のリスク要因として残る。
条件③:楽天経済圏のユーザー
楽天カード保有、楽天市場で月1回以上買い物、楽天モバイル契約、楽天証券利用──このうち2つ以上に当てはまる人は、毎月の電気代ポイントが現金同等で機能する。
──私は楽天カードのみ。半分該当。
条件④:「合わなかったら戻せる」という前提で試したい人
これは私自身が今回もう一度動き出した最大の理由だ。
解約金・違約金なし。1年ごとの自動更新だが、いつ解約しても費用は発生しない。検針票1ヶ月分のデータが取れた時点で、合うかどうかの判断はかなりつく。
──ここは私にとって、ほぼ唯一にして最大の心理的支柱だった。完全該当。
条件⑤:「マーケットあんしんプラン」を選ぶ意思がある人
TERASELには、市場連動型のメリット(安い時間帯の単価が下がる)を残しつつ、電源料金単価の上限を36円/kWh(税込)に設定したプランがある(公式記載)。
ここを選べば、市場連動型の「跳ね上がりリスク」はある程度カバーできる。フル市場連動の博打を打たずに済む、現実的な選択肢だ。
──私は段階料金の超TERASEL東京Bを検討しているので、該当外。
裏返しの5条件で、私の照合結果は 「①完全該当・②非該当・③半分該当・④完全該当・⑤該当外」。
W06と合わせて見ると、やばい側の条件は1つ(うち半分緩和)、やばくない側の条件は2.5個。決定的に「安全圏」とは言えないが、過去の自分が踏んだ地雷とは明らかに違うラインに立っている。
そう確認した時、私の中で「もう一回動いてもいい」という判断が、ようやく具体的な形を持ち始めた。
ここで、私の頭に最後の問いが残った。
「乗り換えた先が、ある日突然撤退したらどうするのか」
新電力で痛い目を見た人の頭には、もう一つ別の恐怖がある。料金が上がるだけならまだいい。事業者そのものが消えるパターンがある。事実として、2022年以降、新電力業界では複数の事業者が撤退・倒産している。だから「TERASELでんき 撤退」という検索が一定数発生している。
私もそれを打ち込んだ一人だ。
この二文字が、まだ視界の隅にちらついていた。だから運営会社まで遡って調べた。
事実だけ並べる:
- TERASELでんきの運営は株式会社エネクスライフサービス(2016年7月設立、東京都千代田区)
- 親会社は伊藤忠エネクス株式会社(東証プライム上場・創業60年以上の総合エネルギー商社)
- 伊藤忠エネクスはさらに伊藤忠商事グループの一員
- 電力小売事業は2017年から運営継続中
- 供給エリアは沖縄・離島を除く全国9エリア
事業規模・運営期間・親会社の安定度を見ると、新電力業界の中では「最も撤退リスクが構造的に低い側」のグループに入る、というのが私の見立てだ。
絶対に撤退しない、とは誰にも言えない。だが、撤退する可能性の濃淡を判断するための材料は、ここまで揃っている。
これを並べた時点で、私の中の「撤退」の二文字は、視界の隅から少しだけ後ろに下がった。
運営会社の信頼性については、株式会社エネクスライフサービスと伊藤忠エネクスグループの規模・実績を別記事で詳しく検証しています。
それでも残った4つの疑問
ここまで照合してきて、それでも私の中に最後まで残った疑問が4つあった。引っかかった順に書く。
Q1:燃料費調整額の上限は、今後設定される予定はある?
私はこれを公式サイトとプレスリリースで確認しに行った。正式な発表は確認できていない。業界全体としても、上限を新設する動きは現時点では限定的だ。
ただし「TERASELマーケットあんしんプラン」では電源料金単価に36円/kWh(税込)の上限が設定されており、これが市場連動型ながら上限を持つ唯一のプランになっている。「上限がほしい人向けの逃げ場は、一応用意されている」という理解で私は処理した。
Q2:激変緩和措置が終了したら、また電気代は跳ね上がる?
激変緩和措置は政府の制度で、TERASELでんきの単価そのものとは別の話だ。措置が終了すれば、補助分(月数百円〜千円程度/世帯)が消えて請求書の額面は上がる。
ただしこれはTERASELでんきに限らず、全電力会社で同じ動きになる。「TERASELが値上げした」のではなく「補助が消えた」が正確な理解だ。私はこの一行を理解できた時点で、不安を1段下げた。※最新状況は政府公表資料で確認が必要
Q3:本当に違約金は一切ないの?
これは私が一番念入りに確認した項目だ。約款のPDFまで開いた。
公式の電気料金メニュー約款に「契約解除料の定めなし」と明記されている。1年ごとの自動更新だが、契約期間中の解約でも違約金は発生しない。引越し時の解約、他社への乗り換え、規制料金への復帰、いずれも違約金ゼロで実行できる。
これが確認できた瞬間、私は実質的にもう8割動いていた。
Q4:「TERASELでんき 撤退」って検索結果に出てくるけど、撤退の予定はあるの?
公式から撤退に関する発表はない(2026年6月時点)。検索サジェストに「撤退」が表示される背景には、新電力業界全体への不安と、競合事業者の撤退ニュースが影響していると推測される。
結論──私の答え
ここまで来て、最初の問いに戻る。
「TERASELでんきはやばいですか?」
私の答えは──「人による」。
これは曖昧な逃げではない。ここまで一緒に追ってきた読者なら、もうこの答えが具体的な条件の組み合わせから出てきていることが分かるはずだ。
- オール電化、月120kWh未満、市場連動を理解せず選ぶ、楽天経済圏外、規制料金から「上限なし」に移ることを心理的に許容できない →やばい結果になる確率が高い
- 月300kWh以上のファミリー、楽天経済圏、すでに新電力契約中、縛りなしで試したい →やばくない結果になる確率が高い
私自身の話で言えば、私はちょうど境界線上にいた。
月380kWhで本命層に届いている。楽天カードはある(楽天市場は中程度)。規制料金からの乗り換えで、ここは私のリスク要因として残る。──でも、違約金ゼロで戻れる。
過去の地雷を踏んだ人間として、もう一度動くには十分な条件が揃っていた。「合わなかったら戻す」が無料で保証されているなら、試さない理由のほうが少ない。

──だから私は、検針票を引っ張り出して、もう一度シミュレーションを回した。
判断の前に「自分はどっち側か」をもう少し確認したい人のために、関連記事も執筆予定です。

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